With You 7
【華燭の灯】
二人で式を挙げようと決めた。 リデアンが自分のことを"パートナー"だと思ってくれるならヴェクタスは、それをせめて自分たちの間だけでも形あるものにしたいと思ったからだ。 本音を言えば公的に婚姻を結びたい。内縁状態では得られない権利がある。かつてヴァレス・トライオスからリデアンを譲り受けたのも権利のためだった。親族ではない。他人である。その一事ゆえにヴェクタスは、生きることも死ぬこともできないリデアンに何をする権利もなかったのだ。
今は、そのとき結んだ正式な契約として、“リデアンの身体"を検体としてヴェクタスが保有している。だがそれだけだ。世間的には死亡したと思われ、扱われている。死亡届を出していないため社会的には死んでいないのだが、だからと言って所在も不明なら活動の痕跡もない。 書類上にしか存在しないデータのようだ。しかもそこにあるのは"検体"という、半ば死体。 であればいっそ自身との婚姻をもって社会の中に戻し、そして家族としてのあらゆる権利を手に入れ、与えてやりたかった。
だがそうすれば激しくセンセーショナルでスキャンダラスなことになるのは明白だった。 自分はいいとヴェクタスは思う。もとからそういう世界で生きてきた。 しかしリデアンは違う。それに、世間が彼に持っているイメージと、そこから生じる敬意や尊崇を汚したくない。 ヴェクタスは、30歳になるかならないかの頃に受けた不愉快な風評被害を思い出す。当時付き合っていた女優がついたつまらない嘘のせいで、とんでもない性癖の持ち主にされたのだ。ヴェクタスでさえうんざりしたああいう下世話な好奇に、リデアンを晒したくない。 彼のためでもあるし、ヴェクタス自身、大切なものが汚されていい気がするはずもなかった。
だから、二人だけで。 気持ちの上でのことでも、記念日にはなる。 今はその準備に忙しかった。 他人を招かないのであればなおのこと、好きなだけこだわれる。 一生に一度の思い出なら、何より美しく演出したい。 だが場所は書斎でいい。余計なものは片付け、デスクを布で覆って祭壇代わりにし、周囲の書棚はカーテンで隠す。花を飾り、キャンドルを灯すことにした。火災の危険があるため屋内の式典で火を使うことはめったにないが、知ったことではない。 花は見た目がヴェクタス好みで、かつリデアンが良いと感じる香りのものを選ぶ。ここが一番融通がきかない。だから、被布やカーテンの色、質、飾り、使うキャンドルの色や燃えたときの香りは、花に合わせる。 なかなか決まらないが、探すのも楽しかった。カタログサンプルを確かめながら二人で相談することはもちろん、出かけた先に花屋があればつい見てしまうし、公園があれば立ち寄って花壇がないかと思う。
それから衣装。色を揃えることも考えた。揃いで黒、あるいは白。しかしふと思いついて白と黒にすることにした。 リデアンは黒のコート型だ。切り替えもスリットも左側だけに入り、刺繍も片側にのみ入れるか、左右で異なるアシンメトリーにした。本来の彼の姿が完璧なまでに対称の美を持っていたからこそ、秩序や法則に囚われなくていいことを表現したいし、遊び心をまとわせたい。アクセントカラーは暗めのシルバーにして、裏地にはパールグレーのフタンシルクを使う。そこに銀糸で、蛇をデザイン化した幾何学模様が刺繍されている。ヴェールの代わりはコートと同じ地のフードでいい。隠されたものが露わになる瞬間をヴェクタスは好んでいるし、自分以外の者には見せたくないという意思でもある。 ヴェクタスの衣装はオフホワイトの、光沢はあるが控えめな生地で短衣に仕立てる。あえてきっちりと左右対称のデザインにする。だから胸ポケットもつけないし、チーフもささない。余計な飾りもつけずシンプルに。裏地はリデアンのスーツと揃いにしたが、こちらの刺繍には金糸を用いている。ボタンや縫い取りも淡い金、使う石は青。リデアンと並ぶと圧に欠けるが、美しい伴侶の引き立て役でいい。 ーーーリデアンには自分の瞳の色をひそかにまとわせ、自分は彼の色を身につける。気まぐれで不規則なものは彼に、整って乱れのないものは自分に。 互いをまとう。 そのことは他人が見ても分からず、自分たちにだけ分かればいい。
花が澄んだ白と小さな黄色、その葉の色も黄に近い淡いグリーンになったので、カーテンは濃く深くしかし鮮やかな紺色にした。 ただ、それでは自分たちも含めてあまりにも色味が少ないし、全体的に暗い色彩の中でヴェクタスだけが浮いてしまう。 リデアンには明るい色のケープを羽織らせるのもいい。生地は自分のスーツと同じにしようか。 それから、飾り付けるのになにかいいものがないか。 昨日から仕事を一つ進めるために出かけていたが、ヴェクタスはそればかり気になってしまった。人と会うのではなく、ただ付いて歩いて適当なことを言えば済む視察で良かったと思う。
そんな仕事から帰宅した。 リデアンの反応がない。彼は日頃リビングにいて、本を読んで(聞いて、あるいはデータとして獲得して)いたり、バルコニーで外気に当たっていたり、あるいは無理のない範囲で時々、ヴェクタスの仕事の手伝いをしてくれている。だから中に入ればすぐに、「おかえりなさい」と聞こえるのが常だ。 それがないことでヴェクタスはにわかに心配になった。 見える範囲にはいない。であればと、次に確認したのは"リデアンの部屋"だった。
部屋というよりは処置室だ。常用する小型の生活補助機器では間に合わないときのため、ここに本格的な専門設備を揃えている。 リデアンはその一つ、電位調整用のベッドに横たわっていた。着衣が乱れて露わになった左の腰、背面寄りには、いつもの時間より早いというのに神経補正ユニットが差し込まれてもいる。 干渉を避けるため、本来ならば別々に行ったほうがいい処置を同時に実行しているというのも、只事ではなかった。 「どうした、リデアン。具合が悪いのか? 何があった」 ヴェクタスは慌てて傍に寄る。 「あぁ……ヴェクタス。おかえりなさい」 ぐったりとして、つらそうだ。しかも眼窩は真っ暗で、眼が入っていない。 だがヴェクタスは慎重に距離を保つ。この状態のリデアンには、近づきすぎると強い静電気が発生することがある。 「大丈夫か? 私にできることは?」 「大丈夫です。もう落ち着きました。少し、思ったよりも、負荷が大きかっただけで」 「負荷? 何をした」 ついヴェクタスの声が険しくなる。 「眼を……」 と、リデアンは左手で指差す仕草をした。
その先には何もない。が、近くに示したものがあるはずだと視線を走らせると、記録用テーブルの下に白いケースとなにかが転がっていた。 ケースはなんの変哲もないものだ。だがその奥にばらばらに転がった二つの球体は、“眼”。 リデアンの"眼"だった。 ただのガラス玉ならばともかく、接続端子がある以上これは精密機器である。しかもこのアイボリーがかった眼球体は、これまでに見たことがない。そんなものが床に放ってあったのは何故だと思うと、嫌な予感がする。 「これのせいか?」 今あるものではならなくなって、新しく作ったか、取り寄せたのだろうが、 「合わなかったのか?」 尋ねると、 「少し、……高解像度のものを試したので」 返った答えにヴェクタスはぎょっとした。
肉眼の性能をほぼ完璧に再現した義眼はある。常人ならば、購入する金さえあればなんの問題もない。 だが、リーパーによる強化によって、”銀河仕様”ではなくなってしまったリデアンは、その使用に耐えられないのだ。無理に使おうとすれば、こうなる。 「なにを馬鹿なことを!」 思わずヴェクタスは声を荒げた。電荷が増して自律神経が狂ったり、痛みを覚える程度で済めばまだいい。下手をすれば脳に障害が出る。そうなれば、現代の医学ですら治療や回復は難しい。 「だからここで試して、すぐ外しました。大丈夫です」 「大丈夫なものか! 君は……っ、いや、いい。大丈夫だと言うなら信じる。だが、頼むから、無茶をするのは私がいるときに、私に言ってからにしてくれ」 リデアンは答えない。言えば止められると分かりきっているから、あえていないときにしたのだ。返事がないのは、ヴェクタスには分かっていた。
だから諦めて聞く。 「やはり、元のとおりの世界を見たいか?」 形や距離だけを把握するものでなく、ドローンたちの寄越すデータでもなく。 白く味気ないと思うこの部屋の、その白ですら単一ではない。リビングに出ればそこはヴェクタス好みの落ち着いた色合いに整えられており、バルコニーの外には淡い色彩の空と美しい風景が広がっている。 格納庫に向かうシンプルな通路も、“ティラシヤ"の白と銀の機体も、その翼で飛ぶ宇宙の星も、訪れた街の景色もなにもかも。 リデアンには存在しない。ただただ、黒ですらない闇、無だ。 「……見たいに決まってるか」 生まれたときから盲目であれば、知らないものなど求めなかっただろう。だが知っていれば、見たいものはあって当然だ。
ヴェクタスは自分の神経にいい影響はないと分かっていても、座面に触れて電荷を下げてから、リデアンの腕に触れた。 「ヴェクタス。いけません」 「君が言うな。たったこれだけを咎めるなら、自分がどれほど危険なことをしたかを、もっとちゃんと理解してくれ」 正論すぎるほどの正論に、リデアンは黙り込んだ。
リデアンがしたいと思うことを、止めたくはない。ただ、命を危険にさらすようなことだけはしないでほしい。 ヴェクタスは、自分の思いは至ってシンプルだし、リデアンにそれが分からないわけもないと思う。 にも関わらず何故こんな無茶なことをしたのか。 再び世界を見たいと願うのは当然だとしても、前もって言ってくれなかったことと、案の定強い負荷で傷ついている姿が胸を刺す。 私に何があればもっと頼ってくれるのか。そう思いながらヴェクタスは、リデアンの頬をゆっくりと撫でた。
その手の下で顎殻が動いて、リデアンが言った。 「すみません。でも……貴方を見たかったんです」 と。
「5分でいい。それが贅沢なら、10秒でもいい。貴方のことだから、一番良く見えるように着飾るのでしょう。それを見たくなったんです。……ごめんなさい……」 世界ではない。 (私を……) “銀蛇の王に、流れる血は嘘、涙は無い”。そんなふうに囃されたこともある。 昔はそうだったかもしれない。泣きたくなったことなどない。生まれたときから泣くのではなく金勘定をしていたんだろうと皮肉られて、真顔でそうかもしれないと返し相手を絶句させた記憶もある。 だが今は、何度も何度も、泣きたい気持ちになるし、それに負けそうになる。
堪えるのは、プライドではないと、ヴェクタスは自分を確かめる。 強くありたいだけだ。そして、味わいたいのだろうと思う。泣いてしまったら薄れていく、泣きたいほどの気持ちというものを。 「まったく君は……」 だが声は熱く潤んでしまう。 「言いづらかったのだろうが、それでも言いなさい。金でどうにかできることなら、私にできないことはない。知っているだろう。性能が良くて負担の少ない眼? いいじゃないか。作ろう。君にもう一度私を見てもらうためだ。星より高くてもいい」 「……はい」 甘やかす限度が銀河レベルになるヴェクタスに笑って、リデアンは素直に頷いた。
それは意外に簡単だった。 5分でいい、10秒でもいいというなら、持続性は考えなくてもいい。また、常用しないのであれば重量やメンテナンスの手間も考えなくて構わない。必要な金? もちろんヴェクタスには無視できる。 彼の無茶振りに慣れたお抱えの技術者集団は、ハイテンションで引き受けた。正当な要求であれば天井知らずの資金が提供されるのだ。研究者、技術者としてはやりたい放題に自分の才能を発揮できる。 たとえばこの義眼も、どれほど優れた技術や革新案を考え出したところで、普通は却下される。「市販するには過剰性能なうえに生産コストがかかりすぎる。採算が取れない」と。 だがヴェクタスは、世界にたった一つのオーダーメイドのために莫大な資金をつぎ込み、やれと言う。やっていい、ではない。やれ、だ。 結果、完成形として引いたボーダーラインよりも上のものが仕上がった。
それからヴェクタスは、リデアンの式用スーツのデザインを一部変更した。 そして訪れた、この日と決めたその当日。 衣装を身に着けたリデアンを見て、 「ああ……“パーフェクト"だ」 ヴェクタスが言う。 “パーフェクト”。他愛もない一言で、ヴェクタスはよく口にするようだが、実はめったにしない。こと趣味に関しては妥協をしない彼が、本当に心からそう思ったときにだけ言う言葉なのだ。
厚みのある濃紺のカーテンで四方を覆い、瀟洒な金鎖で飾り付け、そのうえから真っ白な紗羅をかけた。それから微かに果実の香りのする蜜蝋に火を灯す。 炎につられて影の揺れる灯りの中に、最愛の存在が静かに座っている。 右腕と右脚は欠け、眼はまだなにも映していない。 不具そのままの姿だ。 だがこれが必要だった。これが、正解だったのである。
負荷に関しては、極めてシンプルな緩和方法があった。 まず、義肢を使わないことだ。式にリデアンの起立が必要かと言われたら、NOである。そしてECSCを使うのであれば、体内で上昇する電位は低減できる。 そして椅子に掛けるなら、付けているだけでも電子機器として干渉してくる義肢もはずしてしまったほうがいい。 絶対に譲れない優先順位に則ると、これは完璧ではないとしても、充分許容できる形だった。
「さあ。”眼”を開けて。明度と解像度は、少しずつ上げていこう」 「……はい」 ヴェクタスがリデアンの前に屈む。リデアンの左手が、肘掛けを強く掴んだ。吸電機能はもう動いている。スイッチを入れるためでなく、やはり恐れがあるのだろう。ヴェクタスはその手を取り、両手で包む。 リデアンの義眼に、その美しいが作り物の瞳の奥に、僅かな光が灯った。 駆動音は微かで、この静けさの中でやっと、僅かに聞こえる。使用に際して不快感となる震動は、微弱だろうと許さず排除させた。ただ、脳神経への負担はどうしてもある。 リデアンが少しだけ顔をしかめたが、やがてその眼が、正面に膝をついたヴェクタスの姿を見つけた。
「…………っ」 リデアンの口が微かに震える。 「慌てるんじゃない。私はどこにもいかない。ゆっくり見ればいい」 「は、い……」 人工の眼が、その奥で焦点を合わせ、明るさと色彩、すべてを整え取得画像を完成させていく。 そして、視線を感じるほどはっきりと、その眼がヴェクタスを捉えた。 「ヴェクタス……」 左手がヴェクタスの頬に触れる。手探りすることなく、そっと、確かに。 湧き出した涙は一雫では済まず、次々と眼窩から溢れ出した。 ヴェクタスは内ポケットに入れていたハンカチを取り出し、リデアンの頬を拭った。 「どう飾り付けるか話はしたが、ほら、見てくれ。なかなかいい感じだろう」 言うが、リデアンの眼は動かない。そして、 「少しだけ、老けましたね」 と言って体を傾けると、ヴェクタスの背を抱いた。
「この眼の最大継続使用時間は30分だ。それを越えると脳障害が起こる危険性がある。だから、20分経過した時点で自動的に機能低下するように作らせた。それから、毎日使用するのは、不可能ではないがやめてくれ。3~4日に一度、10分程度かそれ以下に控えること。いいね?」 ヴェクタスの言葉に、リデアンは彼の肩に顔を埋めたまま頷く。耳元に、抑えようとしても適わない、途切れ途切れの嗚咽が聞こえる。 「ああもう……。いつまで泣いているんだ? 私の花嫁はどうやら、思った以上に泣き虫なようだな」 「だって……」 “だって”。 言葉遣いが少し幼くなるとき、リデアンは本当の素なのだと、ヴェクタスは思う。彼の中には、幼い頃に殺されて育つことができなかった心が、どうにもならずに残っている。 顔だけじゃなく全身を見てくれと言いたいが、 (格好だけなら、後でも、いつでも見せられるか) 今はヴェクタスも、リデアンを抱き締めて、離れたくなかった。
椅子に座っての式になるならと、リデアンのスーツは、立っていてももちろん美しいように、そして座ったとしても美しく見えるように作り直した。 右腕の欠落はケープで覆う。これは腕があるときには背中に流せるようにできている。コートは腰のアクセントを強めにし、右裾の身頃幅は少しだけ大きくとって、二枚重ねることにした。立っていると、左側がスリットを持ちほとんどまっすぐに落ちるのに対して、右側はプリーツを形成し少しだけ外へと広がる。そして座ったときには右脚の欠落が目立たないよう、立体感を持たせる工夫をした。 右側から観ると女性用のロングスカートにも見えるが、造形のシャープさにリデアンらしい硬質感が醸し出されている。 ヴェクタスはやはり、何度見ても”パーフェクト”だと思った。
手製の祭壇の前で、ヴェクタスもまた用意した椅子に腰掛け、リデアンの手に手を重ねる。 ちりちりと微かに、芯の焼ける音がする。 「様々な種族や宗教の、婚姻の誓いや宣言の言葉を調べたんだが、どれもピンと来なくて、決まらなかったんだ」 最新の義眼の使用可能時間はとっくに越えてしまったため、リデアンの眼は再び光をなくしているが、涙のおさまった表情は穏やかだ。 「思いつくままの即興にしようと思っていたのも、何も思いつかない」 だがそれでいいかと、ヴェクタスは思う。 形式は不要だ。決め事も要らない。”今私たちはここにいる”。それに勝るものはない。 ただ、そんな今があることを確かめたいのだと思う。それがこの式と、この時間だ。 そして誓うなら、上辺の言葉でなく真実にしたかった。
「私は気まぐれな男だ」 飽きやすいとは言わない。執着すれば執拗になる。ただ、自分を約束やルールで縛って、それに従うことができない。どんなに厳粛な約束や誓いをかわしたとしても、破るときには破る。そんなものに意味などないと切り捨てる。 「それでも今は、この気持ちは変わりそうにないと思えるし、君がいない人生なんて考えたくもない。……愛してるよ、リデアン。心から。どうしようもないくらいに」 そう口に出せば、自分の心の奥にも響く。 しかしそれを永遠と思い込むには、ヴェクタスは聡明で現実的だった。 「嘘をつきたくないと思うと、永久の愛など誓えないし、誓わない。……そんな私でも、君の隣にいていいかい?」 ヴェクタスの問いかけに、リデアンはただ静かに頷いて、重ねた手を握る指に少しだけ力を込めた。
ヴェクタスは椅子から立ち、リデアンの前に再び跪く。 後ろへと落としていたフードをそっとかぶせ、その陰で頬に触れ、顔を近付ける。 互いの口を触れ合わせ、少しだけ開いた隙間へ舌先を差し出せば、リデアンのそれが答えを返してくる。 「……ベッドへ行こうか」 まだ触れる距離でヴェクタスが囁くのに、リデアンは左腕を回して体を預けた。